イチジクを育て始めて3年目を迎え、挿し木のシーズンが3回目を迎えました。
今まで色々と試行錯誤を繰り返してきましたが、何よりも重要だと感じたのが穂木の鮮度です。
穂木の状態が良ければ、多少劣悪な環境でも成功しますが、穂木の状態が悪ければどんなに環境や栽培技術が優れていても成功率は低くなってしまいます
これを簡単に一覧表にするとこんなイメージになります。
穂木の鮮度:良 | 穂木の鮮度:悪 | |
栽培環境:良 | 〇 | △ |
栽培環境:悪 | △ | × |
身も蓋もない言い方をすれば、どんなに良い環境を与えても育つかどうかはイチジク次第ということになります。
イチジクの穂木の鮮度に関しては入手した段階では、もうどうすることもできません。そうなると残った問題は「どんな環境がよりイチジクの挿し木に適しているのか」ということになります。
より良い環境があれば成功率を減らさずに済むよね!
今回は赤玉土と籾殻を使って、イチジクの挿し木にとってどのような効果や影響があるのかを探っていきます。果たしてどんな結果になるのでしょうか?
品種・栽培環境について
まず、今回の挿し木にあたって品種選定はすでに書いてある通りですが『Excel』になります。
この『Excel』には名前の通り優秀な形質を多く持っており、2023年の栽培としての実績を簡単にまとめると次のようになっています。
- 挿し木の成功率100%(8/8)
- 1年目から収穫可能(挿し木から7ヶ月後)
- 最大果重は50g越えで、シュガースポットが出にくくて美味い
この『Excel』を25穴セルトレイを2枚使って合計50株を栽培します。
この3本の枝を1節ずつに切断し、食品用ハイターを薄めた水に漬けて殺菌します。
じゃぶじゃぶ
簡単に擦って汚れをとったら、水分を拭き取って重さを測ります。重い順に並べると…
✖️がついているのは挿し木に使用しなかった分です。真ん中あたりの節は栽培の過程で(多分)摘心してしまったもので、最後の2つは総数が50を超えたので余ってしまいましたので使用しませんでした。
芽がなくても時間が経てば新しく芽が作られるはずですが、余分な栄養と時間を必要とするので除外し、これをセルトレイに並べていきます。左側のセルトレイは赤玉土のみ、右側のセルトレイは籾殻のみになっています。
左上から重い順に並べました。最大8.7gの最小2.1gとなりました。昨年の挿し木では最も軽くて2.6gだったのでそれよりも20%近く小さいもので挿し木することになります。
これが成功すれば挿し木成功の最小記録更新になります
これを重さの偏りをなるべく少なくするために次の画像のように折り返しながら並べます。
並べ終わったら上にそれぞれの用土を被せて準備完了です。
完成だけど、びっくりするほど面白みのない絵面…
この後の成長に期待ってことで…
次に栽培環境についてです。
今回の実験は室内にグロウテントを張って、その中でセルトレイを使って加温しながらの挿し木を行います。
使用している機材は上の2つで、設定温度を25℃にしています。
温度は籾殻の中にサーモスタットのセンサーを埋めておいているので、穂木の温度が26℃以上にならないような管理になります。
年間の栽培スケジュール
前回の挿し木からは次のことが分かりました。
- 鉢上げには挿し木から5週間以上が望ましい
- 収穫には挿し木から7ヶ月はかかる
この反省を活かして今回の挿し木は早めの12月21日に挿し木を開始しました。去年に比べると2ヶ月以上早く開始したことになって、今年のスケジュールは次のようなイメージで栽培をしていきます。
- 12/21挿し木開始
- 2/29鉢上げ
- 4月末外管理開始
- 8月末収穫開始
育苗期間について
今年は育苗期間を10週間で設定しています。
今回はかなり育苗期間があるね。長すぎない?
今年は加温の設定が5℃低くしたので、生育が遅くなったのが原因です
2023年の挿し木では次のように3月1日から挿し木を開始して、37日後(約5週間)に鉢上げをしました。この時の写真は次の通りです。
早いものは4枚ほど展葉している状況なのを踏まえて、今年のちょうど40日目の写真を見てみましょう。
あんまり大きくなってないね
生育が早いもので3枚目が出たかどうか…
これが5℃の差…!
昨年の根の張り方的には追加であと2週間ほど育苗した方が良いと感じていました。
そのため、昨年と同程度に生育するために2週間。更に根張りを充実させるために2週間の合計4週間を育苗期間にしようとしています。
最後の2週間は薄い液体肥料を与えて鉢上げに備えさせようと思っています
外管理〜収穫について
設定温度の差で育苗期間が長くなりましたが、それでも鉢上げのタイミングが昨年よりも7週間分早いので、収穫時期も2ヶ月近く前倒しになる想定をしています。
収穫には積算温度が影響してくるようなので、如何に暖かいうちに結実させるかが重要になってきます。
昨年は1株から3つしか収穫することができませんでしたが、着果自体は倍の6個くらいはしたので、その分の収穫を目指したいと思います。
『Excel』は1年目でもかなり美味しい実が取れたので、6個も取れれば上出来だと思います
もし50株全部育てたら、300個収穫できる計算だね…
栽培場所がないことを無視して挿し木をしています(遠い目
参考リンク
セルトレイ挿しについてはこちらの記事にまとめてあります。この時も同じ『Excel』での実験で、8/8の100%で成功したので、用土に関する対照実験に選びました。
先日2023年のランキングを作成しました。
コメント
今回はカットした上下と節の部分にコーティングはしましたか?
あと、赤玉を小粒から中粒に変更したのは何か理由はありますか?
コメントありがとうございます!
今回のExcelの挿し木ではコーティングは一切しておりません。100本分の作業時間がかかることと、選定したばかりの穂木なので未加工でも成功率は高いと考えたからです。
今までの挿し木で用いていた粒径の小さい用土では、用度間の隙間が小さいので表面張力などで水が流れず溜まってしまう印象がありましタノで、それを解決するために大きなものを使用しました。