【イチジク】これで安心!用土の選び方と使うときの注意点【挿し木】

イチジク

この記事ではイチジクの挿し木でなるべく失敗しないための情報として「用土の選び方と注意点」をまとめています。

自分でやってみて後悔したことや、やってみて良かったことを各タイミングごとにリストアップしてみました。

挿し木で失敗しないためには用土の水捌けがとにかく重要になってきます。

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なぜ水捌けが良い環境が最適なのか

挿し木をしていて一番多い失敗はカビなどの病原菌が繁殖して腐ってしまうことです。気づいた時には内部にも侵食していて手遅れになるケースも多くあります。

挿し木はこのカビなどとの戦いと言っても過言ではないでしょう。

カビが繁殖するためには2つの要素が必要です。

  1. 栄養素があること
  2. 水分があること

1つ目の栄養素に関してはイチジクの挿し木をしている以上、どんなに肥料分がない用土を使ったとしても「カビが使える栄養素」を取り除くことはできません。

細かい軽石でできたパーライトとかを使ってもダメなの?

用土に養分がなくても、イチジク自身が栄養源になっちゃうからダメだね

Oh…

カビはイチジク本体に菌糸を張り巡らせることで必要な栄養素を無理矢理確保することが可能です。

それを防ぐためには、イチジクの挿し穂を使わないことしかありません。

挿し木をしたいのにイチジクの本体を使わないという矛盾が発生してしまうので、「カビが使える栄養素」自体を取り除く事はできませんので、どうしてもカビなどにとっての栄養源を断つことはできません。

そうなると2つ目の項目で対処するしかありません

2つ目の水に関しては、滞留した水がある場所にカビはよく繁殖するという特徴があります。

よく言われる「流れがなく淀んだ水は腐りやすく、流れがある水は腐りにくい」というやつです。

淀んだ水が多ければ多いほどカビが得をする環境で、イチジクにとっては損な環境ということになります。

カビが繁殖してしまうと挿し穂の内部にまで侵食してきます。カビて枯れてしまった挿し穂を割って見てみると断面はこのようになっていました。

本来であれば節で仕切られて密閉されている部分にカビが生えていました。

もし樹皮を貫通してきているのなら外側にもっとカビが繁殖しているはずなので、挿し穂の切断面(画像の右側)で発生したカビが木の内部を通ってきたことを意味していると考えています。

枯れたくないから、なるべくボク達に得になる環境でお願いします…

ある程度イチジクが成長してしまえば、水が多少溜まっていたとしても、すぐに吸収して自分で使ってしまうのでいいので問題はありません。

しかし、まだ発根も十分に済んでいない状態では、過剰な水分は悪い影響を与える結果につながります。そのためになるべく水が溜まっている状態を避けて育てる必要があります。

また水捌けが良いことで、水が溜まりにくくなる上に新しい水で古い水をすぐに押し流すことが可能になります。

もし古い水でカビが繁殖しかけたとしても定期的な灌水を行うことで、挿し木している環境をある程度リセットすることが可能になっています。

上手く水が溜まらないように工夫をして、カビに打ち勝つことが挿し木成功の第一歩となるでしょう。

最適な用土選手権

挿し木をするにあたって水挿しの場合は水道水を選ぶことが一般的ですが、土挿しを行う場合にはいくつかの選択肢から選ぶことになります。

土のブレンドをすると組み合わせは膨大になるので、単品の話をしていきます

土挿しで成功するためには、使う用土の水捌けと使う容器の排水性が重要になってきます。容器の排水性に関しては前回の記事でまとめてありますので見ていない方はどうぞ。

いくら排水性が高い容器を用意しても、用土が水を溜めやすいものであればせっかくの排水性も生かし切れない結果で終わってしまいます。

容器と使う土の両方の水捌けが重要ってことだね!

主に使う用土としては鹿沼土、赤玉土、パーライト、バーミキュライトなどがありますが、土挿しをする用土を選ぶ上での注意点は3つあります。

  1. なるべく水切れの早いものを使うこと
  2. 粒が崩れにくい材質のものを選ぶこと
  3. ある程度の質量があるものを使うこと

この3つの注意点を考えることで各用土を構成している素材の特性を理解することができると思います。

①なるべく水切れの早いものを使うこと

1つ目の注意点は何回も言っているように、挿し木成功の鍵の根幹を担うものです。

滞留した水があるとそこで雑菌の繁殖を許してしまうことになります。それを防ぐためになるべく水捌けの良い物を使いたいところです。

4つの用土をそれぞれ比較してみるとこのような感じになります。

鹿沼土赤玉土パーライトバーミキュライト
水捌け

全体的に4つの中で差はあるものの、水捌けが悪い素材はありません。

鹿沼土と赤玉土は名前の通り、明らかに「土」という質感を持っているので吸水性があります。給水しきれない分はそのまま流れていってしまうので特に問題はない範囲です。両方とも挿し木用の土としても流通するほどメジャーな素材になります。

パーライトとバーミキュライトに関しては非常に水捌けが良い素材です。こちらも名前に「〇〇ライト」という共通点があります。これは主に鉱石などに付けられる名前で両方とも鉱石を加工して作られたものになります。

簡単に言ってしまえば細かい石ということです

細かい穴が空いているので多少吸水はするようですが、そもそも素材が石なのであまり能力は高くありません。その代わり抜群の排水性を持つのが最大の特徴です。

②粒が崩れにくい材質のものを選ぶこと

挿し木の途中で粒が崩れてしまうと容器の排水溝が詰まったり、挿し穂の周りに泥のようにまとわりついて水捌けが悪くなってしまいます。

それを避けるためになるべく粒が崩れにくい素材を選ぶことが重要になります。

鹿沼土赤玉土パーライトバーミキュライト
硬さ×

硬さはダントツでパーライトに軍配が上がります。パーライトは黒曜石から作られた軽石のような素材です。軽さの割に硬度は非常に高いので、普通に植物栽培をする程度では崩れることはないでしょう。

土の密度が高まりすぎないように土壌改良剤として培養土の中に組み込まれて使われることがあるほどです。

バーミキュライトはヒル石という薄い板状の構造を持つ鉱石から作られているので割れやすいので、パーライトほどの硬さは持っていません。しかし、柔らかい素材というわけではなく十分な硬さを持っています。鹿沼土も同等の硬さを持っています。

赤玉土はこの4種類の中では最も脆く、簡単に潰してしまえるほどの硬さになっています。赤玉土を使う場合は崩れやすい素材であることを意識して使わなければいけないでしょう。

③ある程度の質量があるものを使うこと

最後に重さに関する項目です。

重さが挿し木に何の影響を与えるかというと「挿し穂を保持できるか」ということに尽きます。

用土が軽ければ軽いほど挿し穂を保持する力が弱いので、灌水時に挿し穂が動いて根を痛めてしまう恐れがあります。

そのため、「軽すぎなければ良い」という認識で十分な項目です。

せっかく生えた根が切れるのは嫌だよね…

鹿沼土赤玉土パーライトバーミキュライト
質量××

「〇〇ライト」の2つはそもそもが非常に軽く、水もほとんど吸わないので質量が変わりません。

それに対して「〇〇土」の2つは元々しっかりとした重量があり、吸水することで更に重くなれるので挿し木をした際の安定感があります。

今回はブレンドをしない話なので、この項目だけでも鹿沼土か赤玉土のどちらかを使って挿し木をするのが無難であることが分かるでしょう。

最適な用土は…

では挿し木をする上で最適な用土は何なのかを決めていきましょう。全ての注意点をまとめた表を見れば一目瞭然です。

鹿沼土赤玉土パーライトバーミキュライト
水捌け
硬さ×
質量××

「×」がついてないのは鹿沼土だけだね

一番当たり障りがない素材とも言えるかもね

4つの中で一番無難な用土は「鹿沼土」でした。

単品で使う場合は質量の面で鹿沼土か赤玉土の2択になりますが、どちらを使っても問題はない範囲だと思います。現に赤玉土のみで挿し木を行う農家もいるようですし、当然鹿沼土だけで挿し木を行う農家もいるそうです。

条件だけで見ると鹿沼土が一番苦手な面が少ないという印象でした。

ブレンドをするなら、複数の種類を混ぜることでそれぞれの弱点を補い合って優秀な用土が作れると思います。

混合比率を考え始めたら、別の沼にはまっちゃいそうだけどね

実際に挿し木をする上での注意点

最後に実際に用土を使って挿し木をする上でのとても重要なことを紹介したいと思います。

これをやっていないせいで失敗した物がいくつかありました

使う際はふるいにかけたものを使うことが重要です。

ふるいにかけることで細かい砂状の用土が取り除かれるので、挿し穂の周りにこの砂がまとわりつくことがなくなります。

カビた挿し穂を見てみると大体泥みたいになったのがついてたんだよね…

Twitter上で教えてもらいましたがやるのとやらないのでは明らかに見た目が異なり、粒径をある程度揃えることができるので、1つの用土でも水が溜まりやすい底面にはより粒が大きい物を配置して水捌けを確保するといった使い方ができるようです。

イチジクの本ではそういったことが載っていなかったのと、ふるいを使うのは使用済みの用土をリサイクルする際に前の植物の根などを取る際に使うのだと思っていたので盲点でした。

めんどくさがってちゃダメってことだね

持ってる鹿沼土を全部ふるいにかけてストックしておきます!

画像の左側は新しく挿し木をしているふるいにかけた鹿沼土を使ったプラカップの様子です。右側は前に挿し木をしていた時の物です。ふるいを使っていないのでベットリと泥のようになった鹿沼土が付着しています。

実際に灌水して比較してみると左側は驚くほど水が切れていきます。そのままでは表面張力などの問題で完全に脱水することまではできませんが、キッチンペーパーなどを敷くことで大部分を排水することが可能になります。

挿し木をした後に水を与えますが、その時に排水された水の色が透明になるまで水を流し続けるのがポイントです。

これによって細かい砂を洗い流すことができます。これが不十分だとせっかく排水性を意識しているのに真価を発揮できずに終わってしまいます。

イチジクにとって最善の環境を用意してあげましょう!

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