今回は、挿し木の際の節数と重量について調べた株の成長結果をまとめていきます
この時の実験では8本とデータ数は少ないのですが、次のことが分かりました。
- 挿し穂の質量2.6~5.76gの範囲では成功率に差はなかった。
- 節数が多いほど、発根に有利な傾向がある。
- 下から加温しているので、埋まっている芽の展葉が早い傾向がある。
- 質量が大きいほど、初期の成長は有利になる傾向がある。
過去の実験で使用した挿し穂はこのようになっていました。
これを37日間成長させた後に、ダイソーのゴミ箱にスリット加工をしたものに鉢上げしてしました。
楕円形なので寸法から計算すると約8L程度になりましたので、ロングタイプのスリット鉢で言うと8号程度のサイズ感になります。
8号のスリット鉢が600円位するから、超お得だね!
挿し木してからちょうど12週間後の様子が次の写真になります。
どちらの角度から見ても結果は明らかになりました。挿し穂の質量が大きければ大きいほど、大きく成長しているのが分かります。
挿し穂が重ければ重いほど蓄えられている養分が多いことになるので、樹高は高くなり、葉も大きくなりやすいことが分かりました。
その後、この3つの株を1つのコンテナボックスに入れて底面吸水ができる状態にして屋外管理しました。その際に北側から質量順になるように並べ替えました。
使用したのはこのNVボックス#22で、これならダイソーのダストボックスを横に3つ並べることができます。
藻が生えるのを抑制するために、遮光のできるブラックにしました。1年弱使っても紫外線などでボロボロになることなかったので、何年も使えると思います。
そして、落葉した後に挿し木を行うために剪定をした穂木を比較すると次のようになりました。
一番上はどの株かは記録していませんでしたが、他の5株のうちの1つを10ガロンの鉢で栽培したものになります。
枝の成長に関しては質量が大きければ大きいほど伸びるというわけではありませんでした。また、次の画像は根の様子を撮影したものになります。
最も枝が伸びた中央にある4.19gの株が根の張りが良く根鉢ができており、取り出す際に用土がほとんど崩れませんでした。
その一方で、枝振りが振るわなかった2株は根鉢が完全ではなく、枝の成長が悪ければ悪いほど根の張りも悪く、取り出す際の崩れ方も大きくなっていました。
考察:生育の差は何から生まれたのか
植え替えて7週間経過した段階では、成長度合いは前述の通り、4.93g>4.19g>3.02gとなりましたが、最終的な結果は4.19g>4.93g>3.02gと入れ替わりました。
栽培環境としては、容器と用土は同じ物を使い、肥料も差をつけずに与えました。灌水に関しては基本的に1週間に1度程度、3鉢を入れているコンテナにたっぷりと入れて底面吸水で行っていたのでほぼ同一環境になっています。
余剰の肥料分は流れ出てコンテナに溜まるので、過不足などは均一になっているはずです。
この栽培環境で唯一差が生じるものは日光になります。
コンテナボックス内で植えた容器が密着しているので株間が15cmほどと、かなり狭いことで光を奪い合ったことによって生育の差が発生したことが考えられます。
南北の向きで栽培していたので、夏は手前の2株は良く日が当たりグングンと成長しましたが、一番北の株に関しては中央の株の陰になってしまい、光を求めて外側に成長をしていきました。
そして夏の終わり頃から秋にかけては太陽の角度も低くなるので、周囲の建物の影ができやすくなり、南側の株に日が当たりにくくなってしまいました。
その結果として、中央にあった垂直に伸びた4.19gの株には日が当たり最後まで成長し、残りの2株は思うように成長しきれなかったことが原因だと考えられます。
北側の株は最後まで光を独占できなかったんだね…
そのため、植物の成長にはやはり日光に関する環境が重要であることを再認識させられる結果になりました。
その裏付けとしては、前に載せた写真ではもう1本別の枝がありますが、この株は鉢が大きい以外にも周囲に日陰を作る建造物が少ない場所で栽培したものになります。
やはり日の当たり方は最重要項目ですね
鉢の大きさはどのくらい影響するんだろうね?
当然鉢が大きければ大きいほど、根を張る面積を大きくとれるので成長するには有利ですが、今回の場合はそこまで影響は少ないと考えています。
理由としては、小さい鉢だとしても12Lほどの体積があり、1年で根が周りきらずに用土を持て余していたからです。そのため、「根がこれ以上張れないから大きくなれない」ということにはならないはずです。
肥料分に関しては完全に同一の条件とは言い難いですが、肥料が多ければ多いほどよく育つのかといえばそういうわけではないようなので、欠乏症が出ていなかったので特にマイナスの要素がどこかにあるわけではないと考えています。
まとめ
今回の振り返りで分かったことは、
- 生育には日光が再重要。
- 普通の日当たりでは、8L程度の鉢だと1年では根詰まりを起こさない。
- 灌水のたびに根の半分ほど水没させていても問題なく成長する。
- 挿し穂の質量はスタートダッシュに関与し、制空権(?)の確保には重要。
このような内容です。
特に12L程度の鉢だと2年目も植え替えなしで育てられそうなのが分かったことから、今年の挿し木ではもう一回り小さいサイズを使って挿し木することで、より効率良く栽培を行えるようになりました。
コメント
鉢上げの用土は何を使用しましたか
コメントありがとうございます。
使用した用度は挿し木の時と同じものを使いました。
配合としては赤玉土(小粒)とバーク堆肥とバーミキュライトとパーライトをおおよそ6:6:1:1の比率にしました。
詳細はこちらの記事内にまとめてあります。
https://container-lab.online/celltray/