ネットの海をサーフィンしていたら、挿し木(挿し芽)をするときにはハチミツを溶かした水を使うと、カビにくく発根しやすいという情報を見かけました。
確かに、ハチミツには抗菌作用があることが知られています。その特性を利用して、のどあめ等に活用されています。(特に抗菌に効果があるのはマヌカハニーで、こちらも試してみたいです)
また、ハチミツには糖分も含まれているので、植物培養をする際のデンプンを溶かした寒天培地のように植物の栄養源になってくれるはずです。
本来、水挿しをする場合は水を定期的に交換する必要があります。
しかし、ハチミツ水の抗菌作用があれば水の交換をかなり減らしても大丈夫なのではないか。と思いました。
私はめんどくさがりなので、水換えなどの手間は省ければ省けるほど良いと考えています。
究極的には何もしなくても果実が収穫できればいいとも考えているほどです。
これらのハチミツの持つ効果を考えれば、菌の繁殖を抑制しつつ穂木の発根を促進させることができるのではないかと考え、実際にやってみました。
ハチミツ水の作り方
まずハチミツ水の作り方からまとめていきます。
水500mLに対してハチミツ15gを入れて溶かしました。(約3%の水溶液)
ハチミツは水には溶けにくいので、500m Lのお湯でとくか、混ぜた後に電子レンジで加熱するとよく溶けてくれます。
ハチミツはハチミツ100%の物を使うこと!
商品の中には混ぜてあるものが販売されていますので、裏面の成分をよく確認しましょう。
できたハチミツ水は常温に戻してから使います。この時に雑菌が入るとよくないのでラップなどを被せて冷ましましょう。
実験開始
手元に『Black Donov』の穂木があったので、その中から3本を選んでハチミツ水につけました。
上の画像のBとDとEがハチミツ水に浸けて吸水させました。
そのうちのDとEの2本はハチミツ水に1日つけた後に、培養土に挿して管理をしました。
残るBに関してはそのままハチミツ水に浸けたまま管理します。
また、残りの3本に関しては湿潤状態で保存しています。条件は異なりますが、ハチミツ水に関係ない穂木を用意したということになります。
途中経過(2022/10)
〜土挿しに関して〜
土挿しの方は2週間ほどで、両方(緑枝のEと木質化したD)とも展葉しました。
根が出ているかどうかは土の中なので見ることはできませんので、このまま順調に育つかどうかを見守りたいと思いますが、ハチミツ水によってすぐに腐ってしまうということは無さそうです。
また、比較として湿潤保存した3本に関しては緑枝の穂木(F)1本のみが展葉し、木質化している2本(AとC)の穂木は展葉していないので、もしかしたら発根・発芽に対して良い影響が期待できるのかもしれません。
〜水挿しに関して〜
最後の1本のBはそのままハチミツ水に漬けておいたのですが、3日目にもなると液面にはボコボコと気泡が見られました。この泡が腐敗なのか発酵なのかは分かりませんが、何らかの微生物が活動した結果現象である事は明らかでした。
現在では、通常の水に切り替えて水挿しを継続しています。
そのため現段階では、3%のハチミツ水には水替えの頻度を大幅に変えるほどの抗菌作用がないような気がしています。
そして10日程後には、ハチミツ水に浸かっていた部分の上からカルスが発生していました。
不思議に思って浸かっていた部分を触ってみると表皮がベリッと幹の部分までめくれてしまいました。幹の部分は変色したり、柔らかくなったりなどの変化は特にありませんでした。
ハチミツ水に放置した間の微生物の活動のせいなのかは分かりませんが、現段階ではハチミツ水の水挿しは私が期待したような効果はみられませんでした。
もしかしたら、ハチミツ水は毎日変えることで発根や発芽速度が向上する可能性は捨てきれないので、今後の課題としておきたいと思います。
現段階では、吸水にハチミツ水を使って土挿しすることで良い効果が出ている。
水挿しの場合は、溶液を長く放置することはできない。だったら毎日水を変える方が早いし楽。
途中考察
対照実験も行っておらず検証の数が少ないので説得力のあるものではありませんが、今ある情報だけで考察をしてみます。
〜土挿しについて〜
ハチミツは化粧品に用いられるように、保湿効果もあることから土挿しをする際には、適度な湿度と栄養と菌の繁殖抑制効果が得られたという可能性があります。
〜水挿しについて〜
菌が繁殖するには水分が不可欠です。そもそも水分量が多いハチミツ水の水挿しでは、たくさんの栄養がある水に菌を飼っていたという結果になってしまったのだと思います。
いくらハチミツには抗菌効果があると言っても、完全に殺菌できるわけではないので、過信は禁物ということなのでしょう。
栄養素がたくさんある分菌の増殖自体も抗菌作用がなくなってしまうもしくは効果が切れてしまったりするとなってしまうので最終的には菌の繁殖をサポートするような形になってしまった可能性がある。雑菌が繁殖する可能性が非常に高いので、水挿しは上手くいかなかったということなのでしょう。
まだ濃度や交換の頻度など検証する余地は多いので、今後もハチミツ水の水挿しに関しては研究を進めていくつもりです。結果が出たらまたまとめていきたいと思います。
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